東賢史
今回、私はゼミのレポートのテーマとして、メディアにおける人々の影響というものを中心に見ていこうと考えている。 しかし、その前にまず、メディアについて見ていこうと思う。メディアというものはどのようにして生まれたのであろうか。メディアの歴史の背景にはどのようなことが起こっているのであろうか。そもそも、まずメディアとは、どういった物の事をさすのであろうか。メディアの歴史を紐といていくと、人間関係が深く関わっている。つまり、コミュニケーションである。では、なぜ、どのように、コミュニケーションがメディアと関わっているのであろうか。その答えとして、メディアは、社会のコミュニケーションの範囲が拡大した結果、必要になったものであると考えられるからである。具体的にいえば、家族や兄弟、友人など顔見知った関係であれば、直接的な人間関係、つまり「話す」「表情や様子を見る」といったコミュニケーションですむ。しかし、国家や世界など直接的な人間関係が取れない場合、社会を維持したり組織したりするものが必要となる。それがメディアであると考えられる。このようなコミュニケーションの範囲の拡大は、科学や様々な進化によって大きく変化してきた。ここからは、メディアのあり方などを大きく左右したと考えられる「活版印刷以前」「活版印刷の出現」「ラジオの登場」「テレビの登場」を中心に見ていくことにする。
まず、はじめに活版印刷が普及するまでについてであるが、この時代は広場で演説をしたり、立て札を立てたり、手書きで文字を書くといったように、短時間で広い範囲に物事を伝えるには大変時間がかかり困難なことであった。隣接する村との連絡などもうまくいかないといったケースも多かった。さらに、人伝えになることが多く、内容がうまく伝わらないといったこともあった。このように、この時代は技術や思想、宗教なども非常にゆっくりとした速度でしか伝えられなかったと考えられる。
次に活字印刷の登場以降についてみていく。時代で言うと15世紀半ばから16世紀辺りである。西洋で発達した活字印刷の技術は、本など大量に短時間で生産できるようになり、それまでは特権階級の一部の人のものであった本などが、瞬く間に広まっていった。それにより、共通の情報などが今までよりもすばやく入手できるようになり、村々の交流も盛んに行われるようになった。また、村同士の交流は、同じ思考や理想をもつ民衆をつくり出した。これは、コミュニケーションの和が広がったことを意味する。
さらに時代が進むと、電波メディアであるラジオが登場することになる。活字印刷によって書籍や新聞などの印刷メディアは広く大衆に広がったのだが、まだまだ読み書きを全員ができるというわけではなく、大勢の人に短時間で情報を与えるということは困難であった。しかし、それは電波メディアの登場により、解消されていった。なぜならば、ラジオの普及により、受信機さえあれば同一の情報を大多数の人間が制限なく聞けるようになったからである。また、印刷メディアと比較してみると、大きな違いがある。文字を読む必要がないということである。人間の言語発達を考えてみると、まず「聞く」から始まり「話す」「読む」「書く」へと移行していく。特に「聞く」、「話す」といったことは、日常生活を送るうえでかかすことのできない行動である。このように、読む必要のないラジオは、印刷メディアよりもさらに多くの人に情報を伝えることができたのである。また、噂などのように人伝えではないので、正確な情報を伝えられるようになった。
最後にテレビについて見ていく。テレビは印刷メディアやラジオなどの言語コミュニケーションではなく、映像と音によって感じるコミュニケーションを用いた。これは理解するという伝達方法から、感じるという方法に移行したということである。これにより、赤ちゃんレベルにまで伝えられるようになったのである。つまり、ほぼすべての人々が情報を容易に知ることができるようになったといえる。また、ラジオなどの言語コミュニケーションであると、ある情景や様子といったものを伝えるために、長々と話さなければ伝えられなかったものが、映像を用いることにより、細かな部分まですばやく伝えることが可能になった。 このようなテレビが始まったのは1953年、2月1日午後2時のことで、NHK東京テレビジョンなどであった。一日4時間から6時間程度で放送され、街頭に設置されたテレビをみようと交通マヒが起こるといったこともあった。その後、各地にテレビ局ができテレビ放送は順々に全国に広まっていった。生産台数も急速に増加し、値段も低下していったことから、しだいに街頭テレビからお茶の間へと移り変わっていった。その後、60年9月10日にはカラー放送が始まり、63年には衛星中継も開始された。このようにテレビは急速に普及し、現代では一家に一台、もしくは二台、三台が当たり前となっていった。
では、このように様々なメディアに囲まれている現代の人々は、どのようにそれを利用し、どのような影響を受けているのであろうか。ここからは、様々な出来事やアンケート(独自で高校一年生から大学四回生50人を対象に4つの質問を行なったもの)を参照し検討してみようと思う。まず、アンケートの1番に該当するものであるが、現代を生きる若者は何を通して世論の情勢や事件などを知っているのであろうか。
Q,世論の情報や事件を知るのによく利用するものは何ですか?(一つのみ)
| テレビ | ラジオ | 雑誌・専門書 | インターネット | その他 | |
| 高校生 | 22 | 4 | 2 | 0 | 0 |
| 大学生 | 16 | 0 | 1 | 4 | 1 |
| 計 | 38 | 4 | 3 | 4 | 1 |
| % | 76 | 8 | 6 | 8 | 2 |


アンケートの結果からみてみると、やはりテレビが76パーセントと非常に高い結果となっている。また高校生はラジオ、大学生はインターネットを利用していることが分かる。このことから、やはりテレビに重点を置いて考えていこうと思う。では、テレビは一体どのくらいの時間を見ているのであろうか。
Q、一日にどれくらいテレビを見ますか?
| 1時間以内 | 1〜2時間 | 3〜4時間 | 4〜5時間 | それ以上 | |
| 高校生 | 3 | 8 | 11 | 5 | 1 |
| 大学生 | 1 | 4 | 9 | 4 | 4 |
| 計 | 4 | 12 | 20 | 9 | 5 |
| % | 8 | 24 | 40 | 18 | 10 |


これはグラフから見ても分かる通り3〜4時間を中心にピラミットのような形になっている。また、高校生と大学生を比較してみると、大学生の方が長い時間テレビを見ていることが分かる。さらにこの結果から、4時間以上テレビを見ている人が30パーセント近くもいるということから、テレビを見ながら何か他の用事をするといったケースが多いからであると考えられる。
ここからはテレビを中心としたメディアがどのような影響を人々に与えるのかについてみていく。メディアは情報を大衆に一方的に無制限に流している。しかし、それにより人はマインドコントロールされる恐れがある。具体的な出来事をあげると、まさに戦争が良い例である。その頃はまだラジオが中心であったがラジオから流される情報は日本にとって有利なことばかりで、都合の悪い情報は流されることはなかった。また、日本のため、天皇陛下のために戦争に行き、立派に命尽きるまで戦うといった考えが国民に浸透している。歯向かえば非国民と見なされ、周りから非難の目でみられ、処罰を受ける。このようにメディアから直接国民に情報が送られ、洗脳されることがあるのである。現代では、このような報道は否定されているが、別の方法でメディアの影響を受けている。
その一つとして、メディアが発信する情報を制限するということである。どういうことかというと、例えばある殺人事件が起きて容疑者についての報道をしたとする。その際、容疑者について語られることは悪い、良くないことが多い。その容疑者がいつも電車の中でお年寄りに席を譲っていたとしとも、そのことが報道されるといったことはない。だから、その事件のニュースを見た人は、その容疑者は極悪人であるかのように錯覚してしまうのである。また他にも物を購入する際にもメディアの影響を受けている。具体的な例をあげると、例えばデジカメを買いに店に行ったとして、その時、考える商品はCMで良く見るものなどになってしまう。つまり、デジカメは何十種類とあるにも関わらず、メディアの影響を受けることで考えられる選択肢が制限されてしまうのである。このことについてはアンケートを取っているので、そちらの結果を見てみようと思う。
Q.あなたならどれを買いますか?
| CMでよく見る商品 | 他より少し安いが店で始めてみた商品 | 専門の店員がすすめるもの | |
| 高校生 | 18 | 7 | 3 |
| 大学生 | 14 | 4 | 4 |
| 計 | 32 | 11 | 7 |
| % | 64 | 22 | 14 |


やはりCMでよく見る商品が64パーセントと高くメディアの影響を大きく受けていることが分かる。このように日常生活している上で意識していなくても様々な点でメディアに影響されていることが多い。しかし、メディアをどこまで信じ、どう取り扱って行くのかを良く考えていかなければならない。そこで、テレビ番組をどれくらい信じているのかアンケートにより調査してみた。
Q.テレビなどで得た情報をどこまで信じますか?
ニュース
| 0〜20% | 20〜40% | 40〜70% | 70〜90% | 100% | |
| 高校生 | 0 | 0 | 2 | 25 | 1 |
| 大学生 | 0 | 1 | 4 | 17 | 0 |
| 計 | 0 | 1 | 6 | 42 | 1 |
| % | 0 | 2 | 12 | 84 | 2 |

天気
| 0〜20% | 20〜40% | 40〜70% | 70〜90% | 100% | |
| 高校生 | 0 | 1 | 10 | 12 | 5 |
| 大学生 | 1 | 2 | 7 | 9 | 3 |
| 計 | 1 | 3 | 17 | 21 | 8 |
| % | 2 | 6 | 34 | 42 | 16 |

情報番組
情報番組
| 0〜20% | 20〜40% | 40〜70% | 70〜90% | 100% | |
| 高校生 | 5 | 8 | 9 | 4 | 2 |
| 大学生 | 4 | 6 | 7 | 5 | 0 |
| 計 | 9 | 14 | 16 | 9 | 2 |
| % | 18 | 28 | 32 | 18 | 4 |


それによると、ニュースは86パーセントの人が信じているという結果が出た。しかし、先程も述べたのだがすべてを報道していないということを忘れてはいけない。天気に関しては40〜90パーセント程度信じていることが分かる。また情報番組に関しては、半信半疑で見ているという結果が分かった。
今まで色々な例をみてきたが、やはりメディアは利用しつつも鵜呑みにせず、常に一歩ひいて考えるぐらいの気持ちを持つことが大切なのではないだろうか。また現代良く言われる問題として、若者がすぐにキレるということは、情報が溢れている昨今、それらを効率良く処理するために待つということが不必要になっている。そういった時代背景も深く関わっているように思える。やはり、これもメディアにおける影響の一つである。このような問題はメディアという便利さが進むにつれて増えていく問題であるのかもしれない。そのことについては今後研究しきたいと考えている。
『メディア文化論―メディアを学ぶ人のための15話』有斐閣アルマ 吉見 俊哉 (著)
マスメディア論 http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/~mt-home/activities/2002j/joint/media/