サッカー日本代表 トルシエ前監督&ジーコ現監督 戦術論について

1)このテーマを選んだ理由

 まず、2002年に日韓でワールドカップが開催されたことは皆さんご存知でしょう。私は、1サッカー人として、このときは非常に興奮したのを今でも覚えています。私は、小学生の頃からサッカーの虜になり、日本代表の試合など、国際試合を頻繁に見るようになりました。そして、世界のサッカーを愛する人にとってワールドカップの持つ価値の大きさ、難しさを知っていきました。だから、2002年の日韓ワールドカップで、日本代表をベスト16に導いたトルシエ前監督の魅力、2006年ドイツ大会でさらに上を目指しているジーコ現監督への期待、これらに非常に興味を持ったためにこのテーマに決めました。

2)トルシエ前監督、ジーコ現監督について

 トルシエ、ジーコという人物を見たことも聞いたこともない人のために少し紹介しておきます。

本名:フィリップ・トルシエ

国籍:フランス
生年月日:1955年3月21日

プロフィール:
選手としてはフランスリーグでプレーしていたが全くの無名で、指導者としては型破りで、フランスで力を試したことがない。98年フランスW杯で南アフリカを率いて旋風を巻き起こし、W杯後日本の代表監督に就任し、数多くの人材を発掘、日韓W杯で日本をベスト16に躍進させた名称。

本名:アントゥール・アントゥネス・コインブラ(通称:ジーコ)

・紹介の前に何故(通称:ジーコ)なのか?
幼少時代からのあだ名で、「やせっぽっち」という意味だそうです。

国籍:ブラジル
生年月日:1953年3月3日
プロフィール:
選手としては、ブラジル代表として、3度W杯に出場し、「白いペレ」(ペレとは、サッカーの神様といわれる偉大な選手)と言われたほどのスーパースターである。1993年にJリーグ・鹿島アントラーズに入団し、日本の人々に親しまれるスター選手である。そして、2003年から日本代表監督となり、ドイツW杯を目指す。

3)トルシエ前監督の戦術とジーコ現監督の戦術

 それでは、トルシエ前監督とジーコ現監督の戦術と、その相違、二人の考え方を述べたいと思います。

◎トルシエ前監督

a)3バック(フラット3)

 簡単にいうとディフェンダー(DF)3人が横一列に並ぶフォーメーションのことである。これは、世界の守りを中心としたチームに用いられている難しいフォーメーションです。何故なら、1つの試合の中でこの3バックを4バック、5バックになどと変化させたり、中心の選手の的確な指示を必要とするというような高い組織力と統率力を必要とするからであります。このフォーメーションは機能すれば非常に攻守の優れた戦術になります。サッカーで試合の流れを決めるのは、ミッドフィルダー(MF)と言われる中盤の選手達です。この3バックには、その中盤を厚くするというコンセプトも含まれています。しかし、先にも述べたように3バックは統率が難しく一度崩れると立て直すのに時間がかかり、大敗するケースが多いのです。

b)組織(欧州スタイル)

 欧州サッカースタイルは、よく「組織」という言葉で言われます。(例:今年行われた欧州での大会―ユーロ2004覇者ギリシャチームのようなサッカースタイル)
 欧州の選手は南米の選手に比べて身体能力が低いことは否めません。しかし、W杯で南米と渡り合っているのは、この組織サッカーのおかげです。組織とは監督に決められた戦術を忠誠に行うことであります。サッカーにおいて、決められた戦術を忠誠に行うことによって、安定したチームになります。組織サッカーは、皆で勝つというニュアンスが強く、統率する人間の力が重要になります。そういった点で、W杯ベスト16に導いたフランス人のトルシエは、組織サッカーの最高の指導者だったといえよう。しかし、今の世界は組織だけでは……。

c)未来志向型

 トルシエ前監督は、1998年に就任したとき、すでに4年後を見据え若手の発掘に取り組んだ。そして、彼らに才能があったのもあるが、1998年、U−19の世界選手権の準優勝・2000年、U−23(オリンピック代表)の決勝トーナメント進出(ベスト8)・2002年、フル代表の日韓ワールドカップ決勝トーナメント進出(ベスト16)と、目覚しい成果をあげた。驚くべきことは、1998年のU−19代表選手が5人以上も日韓ワールドカップに出場していたということである。(今の黄金世代を築いている小野・高原・稲本・中田浩など)このように、トルシエ前監督は幅広い範囲で選手を見、70人以上もの選手を選び、どの選手にもチャンスを与え、その中で自分の戦術にあった選手を選び抜きチームを作り上げていったのであります。

◎ジーコ現監督

a)4バック(就任当初)→3バック(現在は定着しつつある)

 就任当初、使っていた戦術の一つとして4バックがあげられます。その4バックについて、文字どおりディフェンダー(DF)4人が最後尾(バック)に横一列で並ぶフォーメーションである。特徴としては、世界の主となっているフォーメーションです。何故なら、ディフェンダー(DF)が4人いることにより攻撃や防御のバランスに長けているという点などから多く用いられています。例えば攻撃面では、4人いることによってサイドの選手が上がり、攻撃に参加することが出来ます。防御面はというと、これも同じく4人いることにより、相手チームの攻めてくる選手に対してプレスをかけやすくしている点で優れているというように、攻守のバランスが安定しているが、裏を返せば攻守において極端な変化を出しにくい。つまり、南米のチームなどと対戦し、同じ戦術(4バック)を用いた結果、個の能力に優れている南米のチームに完敗してしまうというケースが過去にも多くあるように、個の能力が及ばないチームに勝つ可能性が少ないのが4バックなのです。

b)自由『個』(南米スタイル)

 日本は確かに世界に一歩ずつ近づいてはいるが、まだまだ今のまま(言われたことだけや消極的なプレーをしているよう)では強くはなれない、世界と互角に渡り合えない。それは、特にピッチ上だけの問題でもない。他の強豪国の選手達は、言いたいことがあれば、監督だろうと自分の意志を伝え、時には激しく意見をぶつけ合っている。もう、日本は監督の言いなりでプレーし、力をつけるというステップをクリアしているとジーコ監督は考えているのです。この点に関しては、今のジーコJAPANを見てもわかるように就任当初と比べると着実にステップアップしていっている。そこで、今求められているのは何か?それは、『個を生かして勝つ』という南米スタイルを用いている。これは、ただ単純に個人の能力で勝つという意味ではなく、自分達で試行錯誤を繰り返しながら、いい形を作っていくという非常に高度な戦術です。言われたとおりにプレーしても、試合が監督の思惑通りに進行するとは限らないし、相手と同じことをしても勝てない。勝つためには、試合の中で自由(臨機応変)に動くことが求められているのです。

c)現在志向型

 ジーコ現監督は、現在のベストメンバーを選び、チーム作りをしようとしている。そしてまた、代表だけでなく、クラブチームの底上げが代表につながると指摘したり、海外組のクラブとの関係にも目を配らせている。また、代表に選ぶのは強豪チームの主力を張っているものだと言っている。そのため、クラブで主力となっている少し年配の選手を使ってはいるが、それは若手への刺激につながっている。つまりは、クラブでの頑張りが必要であると言っているのではないだろうか。

4)最後に……

 今私が思うこととして、当初はトルシエ前監督VSジーコ現監督という風に考えていました。しかし、この二人の戦術について調べていったところ、まだ何も善し悪しはつけられないと思ったのです。答えは、2006年のドイツW杯後にあると思ったのです。私はむしろ、この二人にはつながりを見れた気がします。トルシエ前監督は、日本代表の底上げをし、世界へと道を切り開きました。そして、ジーコ現監督はそこから今の日本に足りない面を強化していっている。(層の厚さと団結力・様々な苦境を乗り越え進化)結果、世界の強豪の仲間入りを図っているのではないでしょうか。つまり、今の日本代表に必要なのは創造性への対応、そして、その対応への時間が必要なのではないかと私は思います。その時間の中で、出来るだけジーコ現監督の意志を理解し、より多くの国際経験をつむことが必要だと思います。そして、2006年W杯ドイツ大会でジーコJAPANの大躍進を期待します。

引用文献:

トルシエ顔写真―http://www.sanspo.com/soccer/top/st200407/st2004072106.html
ジーコ顔写真―http://sports.nifty.com/zico/galfoto/photos05/20.htm

サイト作成者注:原文には写真がありますが、省略しました。